最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)711 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人羽田野忠文の上告理由について。
原判決は、被上告人と訴外D株式会社との間に、同会社が昭和二八年九月三〇日
現在において上告銀行に対して負担していた債務全部を被上告人が肩替りして履行
を引受ける契約をしたこと、右契約は単純になされたものではなく、上告銀行との
関係では、差当つては、同会社の製紙操業に必要な砕木機を有利に確保することを
条件としたものであつたところ、右条件はいまだ成就するにいたらなかつたこと、
右債務肩替りの契約は、いわゆる第三者のためにする契約として被上告人が前記債
務を上告銀行のために支払うことを約したものではなく、また被上告人はいまだ上
告銀行との間で同銀行に対して訴外会社の負担する債務を引受ける旨の契約を締結
するにいたらなかつたことをそれぞれ認定したものであることは、原判文の趣旨に
照らしこれを肯認することができる。
しかるに、論旨は、被上告人のなした債務肩替り契約が単純無条件になされたこ
とを前提とするものであつて、到底採用しえないのみならず、第三者のためにする
契約は、債務者とその履行を引き受けた者との間の契約で特に債権者をして直接そ
の引受をなした者に対し履行の請求権を取得せしめることを約した場合にはじめて
成立するのであり、債務引受は、債権者と引受人との間にその旨の契約の成立する
ことを要すると解すべきところ、原審はそのいずれをも排斥したものであること明
らかであるから、この意味においても、論旨は採用しえないものといわなければな
らない。論旨引用の各判例は論旨とはその趣旨を異にするものである。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
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おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
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